2014年11月26日水曜日

原始の森ニペソツ山。

ニペソツ山。標高2013m。日本で一番東に位置する2000m峰である。
山名はアイヌ語で「流木がある川」もしくは「シナノ木の皮を剥ぐ川」の意。
この山の魅力は原始性であろう。東大雪山系のくくりではあるが登っている感覚は道東やさらに北方の香りのする山だ。開拓以前の姿を残す原始の森は深く。幾つもの森と岩峰を超え頂きを目指した。風雪にさらされた山頂は鋭く切れ落ちて大雪山系の雄大な眺めと十勝平野へと続く樹海のうねりに圧倒される。
普段なかなかお目にかかれない高山植物たちやナキウサギも間近にその生態を見せてくれる。
日帰りでの山行も可能ではあるが今回はその魅力を天幕で一夜をすごして体感した。
夕暮れと朝焼けの移ろいは太古から続く時の流れを感じるひとときとなり、自然の大きさと我々の小ささを思う山行であった。


ニペソツ山の雄姿。天狗岳から望む。一度下ってさらに急登が待っている。空が近い。


前天狗のテン場。数張のスペース。この日は我々のみの幕営である。数年前はナキウサギが
度々訪れてくれたがこの日は声のみ。登山者の増加の為であろうか。


原始の森から湧く雲。その上のウペペサンケ山が怪しく聳えている。


雲海の向こうから朝日を迎える。クマネシリ山が影を落とし遠く阿寒と知床連山を望む。快晴だ。


前天狗の岩場の向こうにトムラウシ山をはじめ大雪山系の名だたる山々遠望する。大雪山縦走をした者には心に残る光景だ。


山頂とその東面は希少な高山植物の宝庫となっているが、一帯は切れ落ちており転落事故も発生しているようだ。植物保護と転落防止の為にも自制した行動が求められる。写真はフタマタタンポポ。

 
 
展望の稜線の下は樹海の深い森。静かな山域だ。
 
【山行memo】 
※登山口すぐの沢は倒木に頼って渡る。
※小天狗岳の岩場は短いが狭く滑りやすい。ルートを見極めて足元には十分注意。
※途中の水の確保については期待しないほうが良い。
※前天狗にはトイレブースがある。携帯トイレ持参の事。
※山頂一帯と東面は滑落注意。
※距離も標高差もあるルートなので計画には余裕を。
※前天狗付近は濃霧時等の視界不良時は特にルートが不明瞭。
※幌加温泉コースにいては不明(廃道状態と聞く)。
今回は十六ノ沢コース。こちらがメインルート。


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