2013年7月22日月曜日

トムラウシ。

花と岩と雪の殿堂トムラウシ山。日本最大の国立公園 大雪山国立公園の中核に存在する。造山活動と火山噴火により創り出された広大な山域で、その山頂部は丘陵状を成し、大部分で顕著な稜線を有しない地形的特徴がある。寒冷な気象条件がもたらすツンドラ地帯や永久凍土が広範囲に広がり、遅くまで残る雪渓と多種多様な高山植物群落を形成している。
毎年訪れるこの山域だが多様で美しい自然の景観は飽きる事が無い。
今回は避難小屋の混雑を避けてテント2泊でののんびり山行だ。特に化雲岳周辺で時間をとって景色と高山植物群落を楽しみたい。1日目はトムラウシ温泉短縮登山口から登りトムラウシ山頂の下にある南沼キャンプ指定地で幕営し、トムラウシの瞳のようなアイスブルーの南沼と北沼を散策。2日目はトムラウシ山頂を踏んだ後、荒涼とした縦走路を進み化雲岳、五色岳周辺を散策してヒサゴ沼に幕営する。最終日は天人峡への長い下りで完了だ。
荒々しくも美しい自然と亡き人たちの御霊に手を合わせて我々は晴天のもとに山を降りる事が出来た。


1日目の幕営地、南沼キャンプ場近くの岩場から南沼とその向こうに十勝連峰を望む。
アイスブルーの南沼周辺は高山植物の宝庫だ。

化雲岳の周辺はカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)呼ばれ、大雪山系の山々を借景に日本最大の高山植物群落の広がる絶景地だ。

2日目の朝。快晴のトムラウシ山頂。背景は十勝連峰。360度の大パノラマ。
《コースタイム》踏査日 2013年7月20日〜22日
《注意事項》
◎標高では推し量れない気象条件の厳しさがある。また、同じ環境が延々と続く為逃げ場が無い。天候判断は慎重に。必ず予備日を設けること。携帯電話の天気予報は入らない箇所が多く携帯ラジオは必携である。
◎カムイサンケナイ川から前トム平への登山道は7月中は確実に雪渓が残る。カムイ天上の尾根ルートから沢に降りるとしばらく沢を右手に見ながら登り目印に導かれて対岸に渡りそのまま支沢の雪渓を登る。ルート判断、雪渓の歩行に注意。又、大雨増水時はカムイサンケナイ川は危険だ。
◎南沼キャンプ指定地は水は融雪水を煮沸して利用。携帯トイレブースがあるので携帯トイレ必携。自然環境にローインパクトな行動を心掛けたい。
◎北沼周辺からロックガーデンは吹きさらしのツンドラ地帯でトムラウシの中でも特に天候判断と行動に注意が必要な箇所。好天時は大雪山の雄大さを実感できる楽しい場所だが、悪天時は一変して低体温症の危険が大きい。岩場は古くなったペイントが有るが濃霧時はルート不明瞭。巨岩帯で浮石が多いので転倒にも注意しよう。僅かな転倒でも重装備の際は手首の骨折などトラブルのもとだ。
◎ヒサゴ沼への下降は①トムラウシ側の雪渓は急斜で朝晩は氷化している場合が多い。またヒサゴ沼までは沼のほとりの雪渓を長くトラバースするので注意。場合によっては軽アイゼンも必要かと思う。ここの通過に苦労している登山者をよく見かける。②化雲岳からの雪渓はさほど急では無いが長く、的確なルートファインディングが必要で濃霧時は特に注意。天候と体力、時間に余裕があれば翌日の雪渓上のルートを下見するのが良い。
◎ヒサゴ沼は避難小屋と外トイレがある。オーバーユースが懸念されるので汚物持ち帰りやテント持参を心掛けて出来る限りローインパクトな行動をしよう。テント場はヒサゴ沼の増水時以外は問題が無く張れる。水はヒサゴ沼ほとりの融雪水もしくは沢水を利用する。融雪水の際は朝方など低温時はは止まってしまう。当然煮沸などのエキノコックス対策は必要。
◎ヒサゴ沼は稜線部より風雨が弱い事が多いと感じている。ヒサゴ沼で強風等悪天候の場合は稜線上やロックガーデンからトムラウシ方面は相当厳しい状況となるはず。
◎ヒサゴ沼や白雲岳の小屋やテント場は時期や曜日によっては大変な混雑となる。縦走計画の際には頭に入れておくと良い。黒岳石室や忠別岳の避難小屋もあり。
◎化雲岳から天人峡のルートはポン化雲岳を過ぎると変化の無いぬかるんだ道となる。がんばってしっかり歩こう。アカエゾマツの原生林を楽しむくらいのこころ持ちが大切。樹林帯に入ると時期によってはヤブ蚊の猛攻撃にでくわす。
山頂に至る登山ルートはツアー登山などで賑わうトムラウシ温泉東大雪荘からのルート。高山植物に恵まれる白雲岳方面からの縦走路。静かな山旅を愉しめる三川台からのルート。そして南から十勝連峰との縦走路がある。
その他、白雲岳からの縦走路の途中、五色岳で沼ノ原方面、化雲岳で天人峡へのルートも魅力的だ。(2013年クチャンベツ登山口は引き続き林道通行止め)
◎いずれのルートも距離が長い。ましてテントや避難小屋泊の重装備で長距離を歩くという事を考えてしっかり準備をしよう。自然度がとても高い山域なので慎重で自立した行動や判断が必要だ。
◎高山植物は前トム平からが素晴らしく7月上旬のキバナシャクナゲやイワウメに始まり中旬のチングルマやエゾノツガザクラ、エゾコザクラへと移って行き、7月下旬かけて見事だ。南沼、北沼は雪渓と湖面とお花畑が織りなす日本離れした景観で日帰りの行程では見ることは難しい楽園だ。北沼を過ぎた丘陵地帯は7月中旬ころまでならエゾノオヤマノエンドウなど風衝地の花々が見られる。天沼周辺も岩と沼と高山植物が庭園のような景観を作る。化雲岳周辺は神々の遊ぶ庭。大雪山系の山々を借景に日本最大の高山植物群落となる。種類も豊富でホソバウルップソウ、クモマユキノシタ、リシリリンドウ、チシマノキンバイソウなど素晴らしい。化雲岳の崩壊地にはエゾルリソウやタカネシオガマが艶やかだ。
今回のルート以外では①北海岳から白雲岳間の風衝地のエゾノオヤマノエンドウ、イワウメなどの花々が7月上旬。②7月上中旬の赤岳から小泉岳、緑岳にかけてはチョウノスケソウ、エゾツツジ、キバナシオガマ、ホソバウルップソウ等が構造土に張り付くように群落を成す。一見の価値がある。銀泉台や高原温泉からのルートは雪田周辺にエゾコザクラ等が美しいが山頂部の花々が鮮やかな時は概ねまだ雪の下だ。コマクサ平のコマクサ群落も素晴らしい。③高根ケ原は広大な凍土の上にホソバウルップソウやキバナシオガマ、エゾツツジが咲き乱れる。④層雲峡からロープウェイとリフトを利用して黒岳へ上がるルートはチシマノキンバイソウ、ダイセツトリカブトなどの高茎草本類の花々が美しい。気軽に入山する方もいるが所々残雪があるので事前に情報を得よう。⑤五色ケ原の高山植物群落もトムラウシの勇姿を背景に堪能したいが、クチャンベツ登山口の開通が待たれる現状だ。⑤体力や時間の無い方には旭岳ロープウェイで上がり姿見駅から周辺の散策路を歩くのも良い。大雪山の主要な高山植物を手軽に観察出来る。ネイチャーガイドによる観察会があるのでおすすめだ。もう少し歩けるならば裾合平へ。チングルマの群落地は圧巻だ。但し年によって残雪の量が異なるので旭岳のネイチャーセンターに問い合わせの事。


2013年7月2日火曜日

鳥海山 鉾立~御浜小屋ピストン

・山行日 2013年7月2日
・天気 晴れときどきガス
・所見 例年のこの時期より雪渓距離があり、雪の量が多い。
     ガス時は方向を見失いやすい。
     「花形雪渓」を見ることができた。
     こちらもコバイケイソウの大群落です。
     笙ヶ岳分岐~御浜小屋区間はお花ロード

どこまでも 続く 雪渓 笙ヶ岳分岐手前まで

さあ もうすこしで 分岐 

「花形雪渓」を かろうじて 確認