2012年12月30日日曜日

2011記憶に残る風景

富山県 赤牛岳~水晶岳 奥黒部ヒュッテから7h(赤牛岳)→2h50m(水晶岳) 2011.8月

船は帰っていった。
ただ船に乗って対岸に渡っただけなのに、なんだか取り残された気持ちになった。
運転してくれたご主人に「崩落個所は全て復旧した」と、奥黒部のご主人に伝言を頼まれ、
『奥黒部まであと2時間、この雨の滴る中、あと2時間だから。』と、言い聞かせて。
でも、この2時間が、しんどかった。
復旧したばかりの丸太柱はヌメッテいるし、
高所の苦手な私には底が丸見えなのが、より一層足を竦ませた。

明朝、天気は悪くもなく良くもなく。
読売新道と呼ばれる延々とつづく尾根登りが始まる。
ゆっくりと標高をあげるにしたがって
見慣れた鹿島槍ヶ岳、針ノ木岳、蓮華岳、そして黒部湖がその姿を現す。
予報に反してだんだんに天気は上場。

爺ヶ岳南峰から天気が良いと、赤牛岳山頂が望める。
そのわずかな鋭敏な三角形が常に心に惹きつけられていた。
そして、この前の年、烏帽子小屋・烏帽子岳・南沢岳からみた赤牛岳もまた、同じだった。
・・・やっと、来れた、ここに。






薬師岳もまた、種池山荘前から天気がよいとカールと3本ラインの尾根筋が良く見える山だった。その薬師の迫力、ものすごい。
すぐそこに見えるけれど、黒部川を対峙した先の、その尾根道は遠い。


水晶岳も種池山荘前から針ノ木小屋のあるちょうど鞍部の真先に見えた山だった。
ついに、そこに辿り着く。
はたして、水晶岳から逆に北側に眼をやれば種池山荘は確認できるのか?
その確認を楽しみにしていたけれど、
水晶岳の山頂からは扇沢上空にいつものガスが立ち込めていて
針ノ木岳と蓮華岳の南斜面までしか確認できなかったのが残念。


高天原山荘と池塘群
近くにある高天原温泉はあまりに有名ですね、ランプの宿としても。

今日の宿、水晶小屋。
『ちびっ子がいるぞ』と聞いていた。ご主人のお子さん。
あ、ガスの切れ目に槍ヶ岳が顔だしてる。


2012年12月26日水曜日

2010記憶に残る風景

富山県 種池山荘から約4h30m 2010年10月

新越三山の一つ、赤沢岳山頂。
黒部湖が見えるこの贅沢。
種池山荘から針ノ木岳へと向かう裏立山ルートといわれる尾根道は
立山三山の迫力が目に飛び込んできます。

扇沢から種池山荘を経て、
そのほとんどが日帰りの爺ヶ岳登山や、百名山である鹿島槍への登山客でにぎわう一方、
種池山荘から反対ルートの針ノ木岳へと向かうこの尾根道は、
北アルプスとは思えないほどの静かな山あるきを可能にしてくれます。
「この周辺は歩きつくしたけど、まだここは歩いてなかったのよね。」
というハイカーが多いのではないのでしょうか。

そんな、静かで雄大な立山三山を東側から眺めながら歩く贅沢。
そして、この赤沢岳山頂での、さらなる贅沢は黒部湖の登場です。
険しい山並みの中から、水面が見えてくることの嬉しいことといったら!
タイミングと好天が合致すれば、水面を走る遊覧船や、
白山を遠望できるかもしれません。

針ノ木岳方面から歩いてくれば、この赤沢岳山頂で、
いつもそばにいてくれた黒部湖とサヨウナラになります。
さて、どっちを選ぼうかな?

2010記憶に残る風景

富山県、長野県 県境   烏帽子小屋から約1h30m  2010年10月

南沢岳山頂。
360度の大展望。

百名山でも200名山でも なんでもないけれど
ここからの景色に 釘付けになった。
その時の自分の様子を、今でも 鮮明に覚えている。

あの時、私は、目の前の、
あの 長~い ながい 尾根道の先にある
赤茶けた山頂付近にターゲットをしぼった。
そう、足しげく通った爺ヶ岳山頂からも凛々しく確認できる赤牛岳。
その赤牛岳がすぐそこにある。
私のこと、誘ってる、あの山は。

よし、次は、あそこを歩くのだ。


南沢岳山頂で時間を費やしすぎてしまった。
道のりは、まだ始まったばかり。
これから、不動岳~船窪岳~と、崩落の激しい主稜線歩きが続く。

2012年12月15日土曜日

2012記憶に残る風景

山形県 古寺鉱泉から大朝日岳。7月下旬。

古寺鉱泉からゆっくり登り始めて45分もすると
見事なカラマツが連続する尾根道がある。

「ここが昔から好きな場所だ」
父が、私に教えてくれた。
この場所でいつも一息ついていたのだろう。

高校時代、山岳部だった父。
おそらく父が人生の中で一番歩いた道。
その道を、私は初めて父と一緒に歩いた。
学生だった半世紀前と、変わっていないのだろうか、この道の風景は。

就職して、登山をやめた父。
けれど故郷の裏山にそびえる、この朝日だけは(しかも古寺から)ときどき登っていた。

最近は、冗談めいて、
「あと、何年朝日に登れるかな?」と、おちゃらけて言う。
でも誰でも、思いのある風景だけは、歩けるうちは歩きたいものだろうとも思う。

下山時、古寺山から小朝日と大朝日岳が、すっきりとみえた。

「・・・この景色をみるのは、もう最後かな」
と、いつまでたっても、ずっと見ていた後ろ姿を今でも忘れられない。 





2012記憶に残る風景

岩手県 櫃取湿原 6月10日。
牧場の中 ジロジロみられながら あるく。
眼がぎょろぎょろしている。
くりんくりん まわっている。

「お。なんだ、コイツらは。」
「また、人間がやってきた」

モウモウ達からみれば、このアスファルト通路は
どんなふうに映っているのかな
このだだっぴろい草地の中で灰色はここだけ。
牧草地の緑の中に 金鳳花が色を添えている。





お目当ては 紫ピンクの九輪草。
出会えた 出会えた。
凛として イキイキしてた。
でも
「(昔に比べて)ちょっと少なくなったかな?」と、ケイシおじさん。


2012年12月11日火曜日

川渡温泉 藤島旅館

「脚気川渡、痔鳴子」
ふるくから名湯の名高い川渡温泉。
藤島旅館は湯治場の風情を今に残す温泉宿だ。
大浴場は緑灰色のお湯が溢れている。
洗い場は質素だが
そこは湯治場。文句は言うナ。

含硫黄、ナトリウム、炭酸水素塩泉

2012年12月10日月曜日

文字三山 大土ヶ森

◎踏査日/2012年12月7日
◎山名/大土ヶ森おどがもり(宮城県栗原市)
◎標高/580m
◎登り標高差/約350m
◎コースタイム/登山口⇒(8)⇒尾根(中央)・沢コース分岐⇒(13)⇒子生婦岩(こんぶいわ)⇒(5)⇒
尾根(中央)・沢コース合流点⇒(5)⇒観察広場⇒(8)⇒分岐⇒(12)⇒大兎岩、鼻こすり坂⇒(10)⇒
大土ヶ森山頂⇒周回コース(いっき坂)経由⇒(20)⇒分岐⇒ここからは尾根(中央)コースで下る⇒(18)⇒登山口下山
※コースタイムは分県登山ガイドブックに準ずる標準的なもの(休憩時間は含まない)
◎山行memo・留意点
※山名はオド、ウドが三角形で尖っているよる形状を表すとこから、または御土盛りから。
山容が裾野をひいて美しく「文字富士」ともよばれる。
※登山口へは細倉鉱山方面から入る。林道は比較的安全に入れるが2t車超は通行不可。
登山口には案内板があり、乗用車なら7台くらいは駐車可能。トイレは無い。
※登山道はよく整備されている。沢コースは沢に絡んで進み子生婦岩から尾根コースへ登る。
所々に丸木橋が掛かる(滑る)渡渉もあるが水量が多い時以外は問題は無い。
※観察広場にはベンチがある。
※分岐からは、左手(大兎岩、鼻こすり、熊落とし坂方面)に進む。所々に固定ロープ伝いに急坂を登る、大兎岩を過ぎると尾根となり間もなく山頂だ。土の斜面で滑るので注意。
※山頂は広いが2分ほど下ったところに展望広場がありベンチがある。ここから中ノ森や櫃ヶ森を望むことができる。
※下りはいっき坂を経由して先ほどの分岐まで下る。途中花山少年自然の家に向かう道を2度分ける。登山道は急で滑る。固定ロープがある。確実に下る。












2012年12月7日金曜日

文字三山 櫃ヶ森

◎踏査日/2012年12月7日
◎山名/櫃ヶ森ひつがもり (宮城県栗原市)
◎標高/615m
◎登り標高差/約100m
◎コースタイム/登山口⇒(3)⇒作業道分岐⇒(5)⇒急坂取り付き⇒(10)⇒山頂台地⇒(2)⇒山頂
⇒(17)⇒下山
※コースタイムは分県登山ガイドブックに準じる標準的なもの(休憩時間は含まない)
◎山行memo・留意点
※登山口は文字から町営深山牧場を目指す(道は舗装路で問題は無い)。櫃ヶ森とその西側のC534の鞍部に続く作業道があるのでその入口(登山口)を見落とせないようにする。駐車スペースは登山口より手前に乗用車2〜3台程度が停車出来るスペースがある。トイレは深山牧場内にある。
※登山口から作業道を登り、尾根に出るとそこから作業道と離れて尾根伝いにヤブの中の杣道を進む。途中踏み跡が不明瞭になるも尾根を忠実に登って行くとまた踏み跡を見つけられる。急登を木立に捕まりながら行くと露岩が現れ、山頂台地の展望が得られる所にでる。中ノ森、大土ヶ森が望まれる。反対側には栗駒山を遠望。山頂はさらに笹薮を数分漕いだ所で、ひっそりした三角点を見つけることが出来る。ルート上にはハッキリしない赤や黄色のテープがあるがわかりずらい箇所が多い。




2012年12月5日水曜日

2012記憶に残る風景

秋田県山伏岳、高倉沢コース。
秋ノ宮温泉側から登るマイナーなルートです。
写真は通称ジャンダルムという小ピークから屏風尾根をみたもの。
紅葉と背後の新庄神室の連峰も青空に映えて美しい。
このルートは登山道脇に温泉が自然湧出している。
こんな場所がそのまんま。あたりまえにあるのがなんとも温泉天国・秋ノ宮らしい。
山頂からはお隣りの高松岳や虎毛山、遠くに鳥海山、焼石岳、などが望める。


2012年12月3日月曜日

2012記憶に残る風景

虹鱒。
快活で華やか、獰猛で純粋
ひとたび掛かると縦横無尽、花火の如くはじけ飛ぶ。

雨鱒。
秘めやかで陰鬱、豪胆で剽悍
何度も何度も忍耐一途、ラインで川面を裂いていく。

どちらも若者サイズでしたが
いまだ故郷の河はなんとか元気でありました。



2012年12月2日日曜日

2012記憶に残る風景

山形、新潟両県にまたがる朝日連峰の主峰、大朝日岳。
快晴の空の下、秋の爽快な山行。
豊かなブナ林の中、根の張り出した登山道をじっくりと詰めて行く
針葉樹林帯を見ずに突然展望が開けて主稜線を望む尾根に出る。
山稜は重なりあい、雪に削り取られた深い沢が幾つも尾根に刻まれている。
紅葉の最中、明るい山道に登山者の声も楽しい一日でした。









2012年12月1日土曜日

2012記憶に残る風景

新潟県火打山。朝一番の景色。
9月、紅葉にはちょっと早い時期に静かな高谷池ヒュッテから火打山山頂を目指した。
前日からの雷雲のなごりか、日本海に浮かぶ積乱雲は薄暗い空の中で閃光を放ち
ゆっくり北に遠ざかる。
ガスの切れ間から朝日が山と僕らを照らす。
一日の始まりだ。