川に向かいたくなる。
遠く蔵王を望み
広々とした流れに立ち込んで
長竿を力いっぱい振り込んで、南風を切り裂いた。
キタゼ、キタゼ!
やまめくん!
幅広でカツオみたいに太ってる。
流れに任せて疾走する白銀の弾丸だ。
まだまだ小ぶり。
もうすぐ海からの戻りヤマメが竿を絞り込む。
いよいよ夏がやってくる。
今日で鳥海山も最後。
登っては滑りの毎日にサヨナラだ。
これからは妄想の日々がやってくる。
だから、かみしめるように行こう。
山頂直下。
日輪なのか彩雲なのか
美しい虹のライン。
今シーズンの沢山の思い出がよみがえる。
みんなに感謝。
スキーに感謝。
自然に感謝。
さて、山頂から行くぜ!
車は標高差で1550m下だ。
景色を脳裏に焼き付けながらの滑降だ。
重力のまま落ちていく幸福。
思いのままに描くターン弧。
幾度も幾度も
今来た旅路を振り返りながら
いけどもいけども
果てしない山懐。
刹那の滑降。
夕陽に輝く鳥海山。
今はサヨナラ。
また会う日まで。